最近購入した本(2)

  The Quotable Horse Lover
   Edited By Steven D. Price, The Lyons Press 1999
  値段:$20.00

 これは間違いなく2000BCのケンッタッキー旅行の時に購入した本である。アメリカ人の好きな「引用」を集めた本で、従って著者ではなくて編者になっているが、内容はもちろん「馬」に関する古今東西の記述の羅列。

 目次を見ると、以下のような分類になっている。

   1. Horse in Literature (文学における馬)
   2. Riding and Training (乗馬および調教)
   3. Out of the West (西部から)
   4. A Shakespearean Interlude(シェイクスピアの間劇)
   5. Racing − The Sports of Kings(競馬―王様のスポーツ)
   6. A Pack of Hunting Quotations(狩に関する引用のパック)
   7. Horse Laughs(馬に関するお笑い)
   8. Horse Truths(馬に関する事実)

 取り上げられているのは、プラトンからコーラン、ナポレオン、TV の「ミスターエド」なども含めて種々雑多なもの。雑学の好きな私が好む本である。中には日本のことわざも載っていて、

   Talking to a horse's ear.(馬の耳に話し掛ける)

 とあって意味が付記されてあり 、To say something that falls on deaf ears (耳が聞こえない、または聞く耳を持たないのに、何かを話すこと)ということになっている。
 これは「馬の耳に念仏」ないしは「馬耳東風」だが、次の文章は何のことだか分からない。

   If the horse is good, you don't mind paying the rental fee.
  (もし馬が良ければ、借り賃のことなど気にかけるな)

 まあ、日本の話ばかり書いても仕方がないので、あと二つ三つ気に入ったところを書いておくと、簡単で分かりやすくて好きなのは、

   Riding is simple ...It's just not easy. − Anonymous
  (乗馬は単純だ...ただ易しくないだけだ−作者不祥)

 これは、あらゆる物事の真実を突いているように見える。なるべく短い引用を探すと、次のようなものもある。

   England is the paradise of women, the purgatory of men,
   and the hell of horses. − John Florio, "Second Frutes"
  (英国は女性にとって天国、男性にとって煉獄、馬にとって地獄である −
   ジョン・フロリオ「第2の果実」)

 これは、単に面白そうだから書いたのだが、全く別の事柄を発見した。このフロリオという人は、16世紀から17世紀にかけてイギリスで翻訳などを手がけた人で、名前から分かるようにイタリア系の人物。
 引用した本のタイトルは Second Frutes となっていて、この本もまた百科事典のブタニカ(http:www.britannica.com)もこういうスペルだが、第 1 の方は Fruites と i が入っており、その他のサイト、例えば http:www.bibliomania.com などでは、 Second Fruites と 2 番目にも i が入っている。

   Take most people, they're crazy about cars.I'd rather have a goddam
   horse. A horse is at least human, for godsake.
    − Holden Caulfield, in J. D. Salinger's The Cathcer in the Rye.
  (ほとんどの人はね、ヤツ等は車気違いなんだよ。それだったら俺はむしろ
   クソ駄馬の方がいいな。だってさ、馬は少なくとも人間的だぜ、本当に。
   − ホールデン・コーフィールド、J. D. サリンジャーの「ライ麦畑で捕
   まえて」より)

 これは有名な作品からの引用で、訳文が適当かどうかは別にして、雰囲気は十分出ていると思う。
 他には、山本さんお気に入りのデイモン・ラニアンからも以下の文章が取られている。

   The race is not always to the swift nor the battle to the strong −
   but that's the way to bet. − Damon Runyan
  (レースはいつも、早さや強さを競うためにあるのではない。賭けるために
   もあるのだ − デイモン・ラニアン)

 作品名が書かれていないのは、何処かのコラムから取られたのかもしれない。
 何だかこれを書いていると何時までもきりがないので、最後にこの本でも最後に書かれている文章で締めよう。

   A horse is worth more than riches. − Spanish Proberb
  (1 頭の馬は富よりも価値がある −スペインの諺)

  1 冊だけで終わると手抜きのような気がするので、もう一冊簡単にご紹介。

   Churchill Downs
   − A Documentary History of America's most Legendary Race Track 
    By Samuel W. Thomas, Kentucky Derby Museum,
               Louisville Kentucky 1995
   値段:不明、本に値段の表示が無く古いレシートをひっくり返さないと分からないが多分 $30.00 位ではなかったかと思う。

 以前からケンタッキーに行くたびに買おうかどうしようか迷っていた本。今回ようやく買った。チャーチルダウンズの歴史が書かれているので、興味はあるが、さりとて急いで読む気はしない。
 実はこうした本で「ツン読」状態になっている本が山のようにあり、早くもこの本もそうなりかかっている。
 そうならないために、来年ケンタッキー・ダービーを見に行くことにして、その予備知識として読むようにしようか。でもそうだとすると結構高い買い物だったかも。

 眠っているという意味で、ついでにもう一冊、これは一体何時買ったのかも忘れた本。多分5―6年前。

  The Fabre Book of the Turf
   Edited by John Hislop and David Swanwell, First edition published
   by Fabre and Fabre ltd. Paperback edition published in 1992
  値段:$10.95

 良く見ると、英国の馬主・馬・騎手・調教師・レースなどについて書かれた記事などを編集してあるもの。何だこんな良さそうな本を持っていたのなら、英国ダービーの歴史の事を書き出すまえに読んでおけば良かった。今からでも遅くないので読んでおこう。
 ジョン・ヒスロップ John Hislop とは、 Brigadier Gerard などの馬主としても知られた人物で、この辺りは山本一生氏の「競馬学への招待」に書かれているのでそちらをご覧いただきたい。