American Stud Book 2001(3)

 用語集の続きは性別からである。ここには8つの言葉がある。

   Colt コルト
     4 歳またはそれ以下の全ての牡の馬
   Horse ホース
    性別に関して言われる時は、5 歳またはそれ以上の全ての牡の馬
   Ridgling ("rig") リジリング(リグ)
    以下のクリプトーキッドまたはモノーキッドを表わすのに使われる俗語
   Cryptorchid クリプトーキッド
    去勢していないにも拘わらず陰嚢に睾丸がない(親から受け継いでいな
    い)あらゆる年齢の牡の馬
   Monorchid モノーキッド
    取り去ったか、あるいは親から受け継いでいないために、陰嚢に睾丸が
    一つしかないあらゆる年齢の牡の馬
   Gelding ゲルディング
    あらゆる年齢の性別のない、すなわち睾丸を 2 つとも取り去った牡の
    馬
   Filly フィリー
     4 歳またはそれ以下の牝の馬
   Mare メア
     5 歳またはそれ以上の牝の馬

 前回の Stallion や Sire のところでは、 Horse という言葉が使われていた。
 一般的な意味で使ったと言えなくも無いが、繁殖牝馬の定義ではわざわざ Filly or Mare と使っているし、第一、牝馬やセン馬は種牡馬になれないので、そういう解釈は無理がある。
 従って厳密なことを言うと3、 4 歳の種牡馬というのは存在しないことになるが、どうだろうか。
 かつて、といっても19世紀の話だが、種牡馬は現役引退後 1 年休ませたり、3 歳で引退するということも極めて稀であったから、 Horse で問題なかったのだろう。
 そうでなくなった現代でも、そんな細かな字面の表現は気にすることはないかもしれないが、法的に見ると種牡馬でない馬の子の登録を受け付けるとおかしなことになるのではないだろうか。
 そのうちジョッキークラブに聞いてみるか。

 と少々脱線したが、次にそのサラブレッドの定義および合衆国の範囲が書いてある。

   Thoroughbred サラブレッド
    サラブレッドとは、ここに示される規則および条件に合致し、アメリカ
    ン・スタッド・ブック、または、ジョッキークラブおよび国際スタッド
    ブック委員会 the International Stud Book Committee に認められた
    外国のスタッドブック、のいずれかにに登録された馬
   United States 合衆国
    合衆国は50の州、コロンビア特別区(ワシントン)およびアメリカ合
    衆国の保有する島嶼地域

 用語集の最後は、ジョッキークラブのオンラインサイトが定義されているが、これは 1995 年版にはなかったものである。

   Jockey Club InteractiveTM ジョッキークラブインタラクティブ
    生産者および馬主が登録申請を行い、その状況を確認し、現在使われて
    いる名前のオンライン登録簿を閲覧できるインターネットのサイト

 セクション IV は、馬の毛色についてである。
 ここには7つの毛色が定義されていて、1995 年版では言葉による定義だけであったものが、オンライン版ではサンプルの写真がそれぞれ貼付されている。
 日本における毛色の定義とは厳密には少し違うのかもしれないが、一般的に使われる Bay = 鹿毛といった訳を一応付けておいた。
 栃栗毛 Dark Chestnut の定義はここにはない。

   Bay(鹿毛)
    体全体の毛は明るい黄褐色 yellow-tan から明るい赤褐色 bright aubum
    の範囲で様々であるが、たてがみ、尻尾、脚部の下の方は、白いマーク
    (斑)を除いて常に黒い
   Black(青毛)
    体全体の毛は黒で、鼻口部、(後肢の付け根付近の)脇腹、たてがみ、
    尻尾、脚部の下の方も含め、白いマーク(斑)を除いて常に黒い
   Chestnut(栗毛)
    体全体の毛は赤黄色 red-yellow から金黄色 golden-yellow の範囲で
    様々であるが、たてがみ、尻尾、脚部の下の方は、白いマーク(斑)を
    除いて通常体全体の毛色と同じ
   Dark Bay/Brown(黒鹿毛 / 青鹿毛)
    体全体の毛は、褐色 Brown で肩、頭部、(後肢の付け根付近の)脇腹
    の部分が黄褐色 tan のものから、黒褐色 dark brown で(後肢の付け
    根付近の)脇腹の部分もしくは鼻口部(または両方)のみ黄褐色 tan
    のもの、までの範囲で様々である。たてがみ、尻尾、脚部の下の方は、
    白いマーク(斑)を除いて常に黒い
   Gray/Roan(芦毛 / 粕毛)
    芦毛および粕毛に関わる毛色の訂正を減らすため、ジョッキークラブで
    はこの2色を1つのカテゴリーに入れる。これは以下の芦毛および粕毛
    の定義を変更するものではなく、また規則の 1(E) にあるように 2 色
    の毛色の遺伝に関する原則 (*) に何ら影響を与えるものではない
      (*) 栗毛と芦毛 / 粕毛に関するもの、詳しくは次回に。
   Gray(芦毛)
    体の大半の毛は黒 black と白 white の混じったものあるが、たてがみ、
    尻尾、脚部は、白いマーク(斑)を除いておそらく黒または灰色 gray
    のいずれかである
   Roan(粕毛)
    体の大半の毛は赤 red と白 white の混じったもの、あるいは、褐色
     brown と白 white の混じったものであるが、たてがみ、尻尾、脚部は、
    白いマーク(斑)を除いておそらく黒または灰色 gray のいずれかであ
    る

 なお、オンラインのサイトには毛色だけでなく、マーク(白斑)についての説明および馬の部署についての説明も、登録用フォームの補助 Tips on Writing Markings として載っていて、上記の説明もそれに依っている。
 ここでは一応規則の外なので触れないことにするが、ご興味のある方は是非ご覧頂きたい。

 次回からは、セクションVの規則に取り掛かるが、全部やるのに14―15回かかりそうだ。