American Stud Book 2001(11)
      - 規則(10)輸出条件

  10. 輸出条件

   A. 馬が合衆国・プエルトリコ・カナダから輸出されるときは、輸出証明書
   とパスポートを輸出から 90 日以内にジョッキークラブから取得しなけれ
   ばならない。
    もしも何らかの理由によって、輸出の 90 日以内に条件が満たされない
   場合でも 、ジョッキークラブ監事の許可を条件に、所定の追加費用(料
   金表参照)を支払った後、輸出証明書を取得出来ることがある。

   B. もしも馬が DNA/ 血液型判定をまだ行っていない場合には、輸出証明書
   を得るために、ジョッキークラブの要請による DNA/ 血液型判定を行うか、
    DNA/ 血液型判定の進行中(サンプルがテスト可能な状態ですでに研究所
   に届いていること)である必要がある。
     DNA/ 血液型判定を行う場合は、規則 5(B) にある通りに DNA/ 血液型
   判定キットを取得し、馬が出発する前に以下をジョッキークラブに提出し
   なければならない。

    1. ジョッキークラブ宛て所定金額(料金表参照)の小切手または為替
    2. 馬の毛色と頭部・脚部・胴体の白斑(あるいは白斑がないこと)旋毛
    を明確に示した 4 枚のカラー写真(正面・両脇・後部)
    3. 漏れなく記載された輸出証明申請用紙、用紙には所有者(または正規
    の代理人)による署名が必要で、さらに仕向国、仲買人の名前、輸出日、
    馬の所有権が記載されなければならない。用紙はジョッキークラブ・イ
    ンタラクティヴを通じて提出してもよい
    4. 出生登録証明書、または 30 日間出走許可証
    5. 受胎中の全ての牝馬については、有効な交配証明書。もし輸出時点で
    交配証明書が入手できない時は、馬の所有者はそれを受取り次第直ちに
    ジョッキークラブ宛てに提出しなければならない

   C. ジョッキークラブは、当該国のスタッドブック管理者に、輸出証明書及
   び当該国のスタッドブック管理者によって当然要求されると思われるその
   他の必要書類を直接送付する。

   D. スタッドブックが公認されていない国へ輸出される場合でも、所有者
   (または正規の代理人)は規則 10(A) 及び (B) の条件を満たさなければ
   ならず、当該馬が合衆国、プエルトリコ、カナダに戻ってから 60 日以内
   に DNA/ 血液型鑑定及び個体鑑定を行わなければならない。
    ジョッキークラブによって公認されていない国での産駒及び受胎馬は、
   アメリカン・スタッドブックの登録を行うことが出来ない。

   E. 輸出証明書を受けずに輸出され、合衆国、プエルトリコ、カナダに戻っ
   てくる馬は、ジョッキークラブが出走登録証明書を再発行する前に、DNA/
   血液型鑑定及び個体鑑定を再度行い、輸出証明書を受けて追加費用(料金
   表参照)を支払わなければならない。

   F. 合衆国、プエルトリコ、カナダに輸入される馬で、父親または母親が規
   則 10 に基づいた正規の輸出手続きを経ていない場合は、その父親または
   母親が輸出の条件を満たすまでは、外国登録証明書を受けることができな
   い。

   G. もしも、合衆国、プエルトリコ、カナダに輸入される馬で、父親または
   母親が規則 10 に基づいた正規の輸出手続きを経ておらず、すでに父親ま
   たは母親が死亡している場合には、書面による申請書を提出の上、ジョッ
   キークラブの監事によって輸出条件の免除が許可されれば、ジョッキーク
   ラブは外国登録証明書を発行する。

 今回の部分も 1995 年版とは違いが殆ど無くて、例の DNA に関する記載だけである。
「輸出条件」と訳して、それ自体は間違いではないが、「輸出要件」の方がより適切な言葉かもしれないと思いはじめた。ちなみに原語は Export Requirement である。
 ここの場合の輸出は、通常の我々が考える「輸出」とは少しニュアンスが違っていて、Export 、 すなわち港(空港を含む)を出ていくという意味そのもののようである。つまり外国でレースをしたり、生産したり(シャトル種牡馬など)、繁殖牝馬が交配して戻ってくる場合にも同じ手続きが必要のようだ。従って、戻ってくる、すなわち Import の規定も少し書いてある。

 当然といえば当然だが、未承認国での生産活動は、一応の救済があるけれども、実際には認めないということである。そこでもし、その中からとてつもなく強い馬が出てきたらどうなるかとうことだが、小説「ブラックスタリン」などの時代と違って、現在では各国が協力して管理する体制が遥かに揃ってきたので、まあそういうことは起こらないだろう。

 次回は輸入の話。