2001 年 BC at Belmont Park Classic | |
<事前予想> 注目のクラシックは今回予想が最も難しいレース。欧州の 2 強をどう評価するか、昨年の 2 歳と 3 歳のチャンピオンが今一つであり、この取捨をどうするかがポイント。 結論から言えば、今年の充実著しい欧州の SAKHEE を本命とする。 相手は、昨年のクラシックで善戦し、その疲れで暫く不振であったが、復調なった APTITUDE を持ってくる。外枠は不利だが、それを払いのける力は十分ある。 展開で大穴をあけるとすれば、思い切って逃げた時の ALBERT THE GREAT で、人気薄 GUIDED TOUR も、流れ込むと分からない。 昨年のチャンピオン TIZNOW は、昨年は騎手の好騎乗で逃げ切ったが、今年は逃げられずに苦労するだろう。 2 歳チャンピオン MACHO UNO も完全には戻っていない、来年の復活に期待したい。 問題の GALILEO はここでは先行出来ず、持ち味が活きないし、差しても伸びないだろう。 1 1/4 MILES DIRT THOROUGHBRED OPEN 3 YEAR OLDS AND UP GRADE 1 STAKE PURSE $4,000,000 ( 5:35) (13) 1 ORIENTATE L122 DAY P LUKAS D WAYNE 2 GUIDED TOUR L126 MELANCON L O'CALLAGHAN NIAL 3 BLACK MINNALOUSHE L122 MURTAGH JOHN P O'BRIEN AIDAN P 4 NCLUDE L126 VELAZQUEZ J R DELP GROVER G 5 GALILEO (IRE) L122 KINANE M J O'BRIEN AIDAN P 6 AKHEE L126 DETTORI LANFRAN SUROOR SAEED BIN 7 MACHO UNO L122 STEVENS G L ORSENO JOSEPH 8 GANDER L126 ESPINOZA V TERRANOVA JOHN P 9 ALBERT THE GREAT L126 CHAVEZ J F ZITO NICHOLAS P 10 TIZNOW L126 MCCARRON C J ROBBINS JAY M 11 A FLEETS DANCER L126 LANDRY R C ATTFIELD ROGER L 12 APTITUDE L126 BAILEY J D FRANKEL ROBERT 13 FREEDOM CREST L126 DESORMEAUX K J BALTAS RICHARD 森本の印&購入馬券 ◎ Sakhee ○ Aptitude ▲ Albert the Great △ Guided Tour 注 Galileo 連単(6 − 2,5,7,9,10,12)(10 − 2,5,6,9)各 2 ドル 合計 20 ドル 3連単(6 − 9,10 − 2,5,9,10)各 1 ドル 合計 6 ドル 4連単(6 − 9,10 − 9,10 − 2,5)各 1 ドル 合計 4 ドル 常連氏の印 ◎ Macho Uno ○ Aptitude ▲ Black Minnaloushe △ Orientate 最終レースで、遂に印を変更した。上記事前予想の○ Aptitude を注に落とし、注の Tiznow を▲に格上げ、Macho Uno も注に格上げした。その結果馬券は、Sakhee からと Tiznow からの 2 種類とし、上記とした。 実は、最初は連単を 1 ドル単位にして、3 連単および 4 連単も、 Tiznow と Sakhee を入れ替えた馬券も買うつもりで、更には 4 連単では、注の馬を全て 4 着に入れていた。 もしも当初の予定通り馬券を買うと、金額が連単 10 ドル、3 連単 12 ドル、4 連単 16 ドルとなり、合計が 38 ドルとなってしまう。予算が 40 ドルあればこれを買っていたかもしれないが、予算は飽くまでも 30 ドルであり、削らねばならない。 最初に削ったのは 4 連単 4 着に想定した注の馬で、3 頭の内 2 頭削るのに迷ったが、結局 Galileo を残し、これで総額 30 ドルとなった。 さて、それで買おうとしたのだが、当りにくい 3 連単や 4 連単よりも連単が当たった時の配当を高くしようと、もう一度思い直して、結局 Tiznow 頭の 3 連単と 4 連単を削り、連単を 2 ドル単位という上記の買い方になったのである。 結果から言えば、最初の通りに 38 ドル買っていれば、3 連単 670 ドルと 4 連単 12,248 ドルが当たっていたのだが、考えてみれば直前に変更した予想であり、そんなことで 1 万ドルも稼いではいけないという天の思し召しなのだろう。 釣り落とした魚は常に大きいのである。 先手を取ったのは Orientate 、続いて Albert the Great が行く。Tiznow はその直後で、以下 Guided Tour 、 Galileo 、Sakhee など。 向こう正面に入って、今度は Albert the Great が先頭に、Guided Tour や Tiznow といった態勢が続いて、 3 コーナーの勝負所、今度は Sakhee が上がってくる。 いよいよ直線にむいたところで、先頭は Sakhee か、2 番手 Albert the Great 、Tiznow も差がなく、この 3 頭のレースとなり力が入る。 「フランキー!」 と絶叫して、そのままなだれ込んだと思った私は 「やった!!」 と喜んだのだが、常連氏が、いや Tiznow が差したと指摘、場内のリプレイを見たらば確かに替わっている。 結局鼻差で Tiznow 優勝、Sakhee2 着、Albert the Great が 3 着で、以下 Macho Uno 、 Guided Tour 、Galileo と続いて、私の「最終的な」印では何と▲◎○注△注と、6 着までほとんど完璧、最後に印を落とした Aptitude は 8 着だった。 翌日の新聞では、ベイリー騎手「やはり外枠が」と発言しているが、勝った Tiznow も、3 着 Albert the Great も、それほど変わらない枠であったのだから言い訳に過ぎないだろう。この日は乗れていなかった。 Tiznow は、牡 4 歳、父 Cee's Tizzy 、母 Cee's Song(父 Seattle Song)で、前年の BC クラシック優勝馬。2 年連続クラシック優勝は史上初めてだが、そもそも 2 度クラシックを勝ったのがこの馬が初めてである。今年春先は、3 戦して 2 勝 2 着 1 回とまずまずの成績だったが、秋に復帰後は、連続 3 着に敗れており、評価がやや下がってしまっていた。 馬名の Tiznow は、スペイン語からの連想を含んだ合成語ではないだろうか。 Tiznar だと、スペイン語で「黒くした」という意味、これは父親 Cee's Tizzy が芦毛馬でかなり白く、一方この Tiznow が鹿毛馬であることから「黒くなった」という表現を捩ったのであろう。 ちなみに、スペイン語でチョーク(白墨)のことを Tiza と言うので、父親 Cee's Tizzy を名付けた時には、その連想で Tizzy という言葉を持ってきたと思われる。 Tizzy というのは「混乱した状態、興奮状態」のことで、一方の Cee's は要するに C's と同じこと、オーナーで生産者のセシリア・ストラウブ=ルーベンス Cecilia Straub Rubens のニックネームであるから、母親も含めて日本の冠号に近い。従って意味としては「シーは錯乱状態」ということである。 で、Tiznow に戻って意味を書くとすれば「今とても興奮している」ということになろうか。 Tiznow はまた、1999 年に BC クラシックで 2 着した Budroyale の全弟であり、この馬は早くにクレームされて生産者の手を離れた。名前は「王家の子供」とでもいう意味になるのだろうが、実はセシリアの最初の夫で、死別したバド・ストラウブ Albert (Bud) Straub と、 2 番目の夫ロイ・ルーベンス Roy Rubens の名前を組み合わせたものであり、彼女自身二人の夫の名字を名乗っている。 セシリアとその周囲は、この Budroyale の BC クラシック 2 着を見て、当時まだレースに出ていなかった Tiznow の将来の出世を確信し、昨年のBCでそれは実現したのだが、残念ながら彼女は昨年のBC後に亡くなり、病床で調教師に 「この子 Tiznow をよろしく頼む」と遺言したそうである。 現在 Tiznow は、彼女の名前を取って付けられた Cee's Stable がオーナーとなって馬を走らせていて、来年も現役続行と伝えられている。 連単 Exatca の配当金は、 2 ドルあたり 140.50 ドルで、通算では購入総額 251 ドルに対し、払い戻し総額 310.90 ドルで、約 60 ドルのプラス。 常連氏は、結局収支プラス 1 ドルだそうで、K氏は残念ながらここは外してしまったが、ターフの的中で大幅黒字。 初心者二人は、トムはここも 4 連単 1 点買いで外して全敗だが、総額 25 ドルしか買っていなかったとのこと。 粋な遊び人は、最後の連単をしっかりゲット、総額 30 ドル買って 70 ドルの払い戻しと、さすがに上手く遊ぶものである。 トム「いやあ面白かったわ、寒かったけど。」 粋遊「また誘ってください。では二人は電車の時間があるので」 と帰っていった。 聞けばあとで 2 人して、マンハッタンの韓国焼き肉で体を温めたのだとか。 常連「今年もお世話になりました。」 森本「いえいえ、こちらこそチケットをありがとうございました。」 常連「来年は何処でしたっけ。」 森本「西海岸じゃなかったかなあ。(実はシカゴのアーリントンと後で判明)」 常連「4 歳はやっぱり強かった、というよりもその前の世代が弱かったですね。」 森本「 Macho Uno が 4 着だから Point Given がやはり 3 歳では最強だったか もしれませんね。」 常連「Galileo も芝ならもう少し上に来たでしょう。」 森本「来年もしっかりこれを覚えておかなくては。」 こうして 2001 年のBCは幕を閉じた。厳重な警備はあったものの、レース中はすっかりテロのことを忘れていた。 帰りに車の運転をしながら、ヴェラザノ橋に向かうところで見えるマンハッタンの夜景。当然そこに以前見えていたたツインタワーは、もう視界には入ってこないのだった。 |