第8回 

 続くベルモントの、第4、第5、第6レースと、相変わらず同じような調子で進んでいく。
 結局ここまでの収支は、すでにマイナス250ドル位になっている。やはり Pick6 と Pick3 の80ドル分が効いているなあ。

 こういう負けの込む時は、「気晴らしが重要である。発想を変えねばならない」というので、その辺をもう一度歩き回ってみた。

 3階の Clubhouse と Grand Stand の間の壁には、ここで行われたブリーダーズ・カップの記念写真が飾ってある。
 前回ベルモントで行われたブリーダーズ・カップは1995年のことで、あのシガー( Cigar )の最盛期にあたり、その強さは圧巻であった。
 レース直後に虹が掛かったインサイドインフォーメーション( Inside Information )も強かったし、リッジウッドパール( Ridgewood Pearl )もマイルを勝った。
 そういえばジュビナイルを勝ったのは、アンブライドルドソング( Unbridled Song )で、その前のベルモントの時のクラシックを勝ったのがお父さんのアンブライドル( Unbridle )だったと思って探してみると、それは少し高いところに掲げてあった。

 もちろん、ベルモント競馬場には、ベルモントステークスの歴代優勝馬の名前の刻まれたプレートが飾ってあり、それは確か最初にご紹介した、食事をしながら観戦するテラスへ入る入り口付近にあったように思う。
 特別室などもあるところで、最近の馬は記念写真も飾られていたはずで、エーピーインディ( AP Indy )の写真も見た記憶がある。
 かなり古い絵画も掛けてあったはずだが、何の絵が掛けてあったのか記憶が定かではない。多分レキシントン( Lexington )であるとか、そういった馬たちであったと思う。これはまた次回調べてご報告しよう。

 ついでに言うと、パドックにはセクリタリアート( Secretariat )の銅像もある。良くパドックを訪れたいろいろな人達の写真が、この像とともに写っているので、ご存知の方もあるだろう。
 また、まだ見たことはないが、ラフィアン( Ruffian )のお墓もこのベルモント競馬場の内馬場にあるはずだ。

 日本でも、府中の競馬場にトキノミノルの像や安田伊佐衛門氏の胸像などがあったと思うが、数に限りもあるし、作るのになぜか随分と大変そうで、特別なものという印象が強い。
 もちろんそれが悪いのではないが、そんなに力まなくても、優勝馬の写真をそこにひょいと飾ったり、あるいはチャーチルダウンズでも歴代ケンタッキーダービー馬の名前が壁に書かれてあったりする。
 何気なく手間暇のそれほど掛からない方法でこうした記念のものを残しているのは、とても素晴らしいことだと思う。もっと日本でも見習って出来ないものだろうか。

 さて、そんなことを考えながら歩き回って気晴らしも済んだので、次のレースへと向かう。
 次のレースは、名手ジェリー・ベイリー( Jerry Bailey )騎手が蛯名騎手に乗り代わっているとご紹介したそのレースである。
 ニューヨーク産限定のアローアンスで、距離は1マイルと1/4(約 2000 m)枠順は以下の通りである。(馬番・馬名・騎手・ ML の順に表示)

1. Brave One ( M Ebina)4-1
2. Irish Charm ( M Luzzi )10-1
3. Appleturnover Mike ( J Espinoza )6-1
4. Metoric Rise ( Chris DeCarlo )30-1
5. Sir Cliffhanger ( J Santos )15-1
6. Jovial Forecast ( H Rosario )30-1
7. Byndenwood ( F Leon )20-1
8. Hunts Landing ( N Arroyo Jr )20-1
9. Platinum Setting ( J Chavez )7-2
10. Jimeric ( E Prado )6-1
11. King Locomotive (R Davis )6-1
12. Repute ( J Velazquez )6-1

 簡単に言うと、9:Platinum Setting が1番人気で、1:Brave One がそれに続き、3番手グループが 3:Appleturnover Mike / 10:Jimeric / 11:King Locomotive / 12:Repute の4頭という力関係。以下はかなりの人気薄となる。

 自分の前日予想でも、この Platinum Setting はかなり固いと踏んでいる。そして、先行脚質の Brave One はやや不利な馬場なので、割り引いて単穴位に落とし、むしろ差しタイプの Appleturnover Mike や King Locomotive を本線で狙い、大穴で Metoric Rise を押さえるという作戦。
 しかし、馬券は負け続けているので、少し弱気に手広くして、買い目は、Exacta を 1,3,9 から 1,3,4,9,11 に2ドルづつ(合計24ドル)と Trifecta を 1,9/1,3,9/1,3,4,9,11 (1着/2着/3着)という買い方で各1ドル(合計12ドル)、総額で36ドルを購入した。

 レースでは先行した中から、Brave One が抜けるところを、さすがに Platinum Setting は強く、完勝。それでも、蛯名騎手 Brave One を2着に持って来て、まずは Exacta が当たり。
 しかし3着は、例によって3番手グループから切り捨てた Repute が残り、狙った King Locomotive が4着となって、 Trifecta は外した。
 払い戻しも1番人気で、23ドル位しかなく、元割れではあったが、頭が当たったし、蛯名騎手も良く頑張ってくれたので、取り敢えずは満足。

 さて残るは、メインの重賞と最終の2レースだけとなった。