第10回 

(ベルモントパークの1日、続き)

 さて、 Bowling Green (G2)のレース・スタートである。

 まずは、大方の予想通り Special Coach が逃げ、2番手に Carpentaer's Halo 続いて Elhayq や Drama Critic が続く。
 人気の1頭 Epistolaire は後ろから2番手、最後方から Yankee Dollar という並びで、向正面までは坦々と進む。
 3コーナーより各馬が仕掛けると、逃げていた Special Coach は脚色が怪しくなる。代わって内から Elhayq が進出してきて先頭で直線へ。
  Special Coach が後退していき、Carpentere's Halo が2番手に上がるも、前を捉らえる勢いにない。
 ほぼ体勢決したかというところで、大外から最後方にいた Yankee Dollar が一気に伸びて来て、ゴール前で Carpenter's Halo を捉らえ2着に上がる。

1着 Elhayq (タイム 2分13秒81)
2着 Yankee Dollar (着差 2馬身3/4)
3着 Carpenter's Halo (着差 1/4馬身)
4着 Incitatus (着差 1馬身)
 以下、Drama Critic 、 Epistolaire 、Ssssosa 、Special Coach 、The Kaiser の順。

払い戻し金 Win Place Show
3 Elhayq (IRE) 32.00 16.00 8.70
2 Yankee Dollar 12.80 9.60
8 Carpenter's Halo 7.00
Exacta 3-2 315.00
Trifecta 3-2-8 3131.00
(以上いずれも払い戻し額は2ドルに対してのもの)

 モーニングライン以上に、Drama Critic と Epistolaire の2頭に人気が偏り、その2頭がいずれも5着以下に沈んでしまったので、思わぬ好配当になった。
 それにしても、Exacta の150倍は付き過ぎだろう。 Win も Place も Show も、これだけ配当が付けば、言うことなし。
 皆さんの予想は如何であったろうか。私としては、 Yankee Dollar は狙ったが、例によって Elhayq と Carpenter's Halo は先行争いが厳しいと見て切ってしまい、取れずに終わった。

 さあ、残るは最終レース。既に350ドル近く負けている。最終の馬券代を含めればおそらく400ドル位取り戻さねばならない計算だ。冷静に考えれば、今まで当たらないものが、最後に奇跡的に当たるはずはないのに、何故かそれを取り戻したいと穴っぽい買い目を増やしてしまう。
 そうした人の心理を上手く突いて、ここには Superfecta なる悪魔のような馬券がある。1着から4着を当てれば400ドル位はいとも簡単に元が取れるはずだが、もちろん当たらないことにはどうしようもない。

 内回り芝の1マイル 1/8 で、牝馬限定の未勝利戦。10頭立てのところ1頭取り消し、替わって AE ( = Also Eligible )つまり補欠の中から2番手の1頭が繰り上がり、合計10頭立てのレース。

 人気は10番に入った E Prado 騎乗の Captive Audience で、 ML は 5−2(3.5倍)だが、実際にはもっと人気になっている。私の昨晩の検討でもこれはかなり有力で本命にしたい馬。
 もう1頭の人気馬は、9番の Ensnare のはずだった( ML では7−2、4.5倍)が、何故か他の馬に人気が散っている。
 そこで、狙いはこの2頭を頭にして、人気薄、特に追い込みにかけて、まずは、5番の Charm 3番の Dancing With Fire 繰り上がって出場の12番 Decadent Designer に流す。

1.Hawk Dance ( R Davis )
2.取り消し
3.Dancing With Fire ( R Migliore )
4.Seattle Joke ( F Leon )
5.Charm ( D Nelson )
6.Martinique ( S Bridgmohan )
7.Miss Class Action ( J Santos )
8.Belle Eternelle ( J Chavez )
9.Ensnare ( M Smith )
10.Captive Audience ( E Prado )
11.取り消し
12.Decadent Designer ( J Velazquez )

森本の買い目、
Exacta 10-3,5,9,12 各2ドル(合計8ドル)
Exacta 9-3,5,10,12 各1ドル(合計4ドル)
Exacta 5,3,9,12-10 各1ドル(合計4ドル)
Trifecta 9,10-5,9,10-3,5,9,10,12 各1ドル(合計12ドル)
Superfecta 9,10-5,9,10-3,5,9,10,12-3,5,9,10,12 各1ドル(合計24ドル)
これで52ドルだが、最後にふと思い立って上記 Exacta をもう一度買い増した。
Exacta 10-3,5,9,12 各2ドル(合計8ドル)
Exacta 9-3,5,10,12 各1ドル(合計4ドル)
Exacta 5,3,9,12-10 各1ドル(合計4ドル)
これで、総計68ドルの勝負。

 レースは、大本命の10番 Captive Audience が逃げるも、8番 Belle Eternelle に絡まれて、4コーナーで失速気味、ああ、いかんと思っていると、中段から抜けて来たのは、12番の Decadent Designer 、 続いて5番の Charm 、さらに直線では一気に後方から 9番の Ensnare と1番の Hawk Dance が来る。
 ああ、Hawk Dance なんて余計な奴が来なければ、逆に Charm がもう少し伸びていて呉れれば、Trifecta が取れたのに、とくやしがるが、まあ取り敢えず Exacta は取ったし、しかも珍しく、本当に珍しく最後に追加したのが取れたからと気を取り直す。

払い戻しの発表、

9 Ensnare 21.40 10.20 6.50
12 Decadent Designer 24.00 16.20
1 Hawk Dance 5.60
Exacta 9-12 694.00
Trifecta 9-12-1 4425.00
Superfecta 9-12-1-5 13741.00

 ええ? 冗談でしょう?
  Exacta は1ドル辺り347ドルの払い戻し。それも1ドル追加したから、合計694ドル。
 これ、最初から2ドルで買っていると、例の IRS 窓口でしか払い戻されないはずだ。
 試しにその辺の窓口でまず1ドル分を差し出したら、窓口のおじさんは
「え?1ドルで347ドルもあるの?」と驚いたが、別に何の問題もなく払い戻し。さらに「あ、もう一枚お願い」と言ったら、「 Congratulations! 」と一言。あっさりと払い戻ししてくれた。いや、やっぱり最終レースは当てなくてはいかんね。

 ということで、この日は経費差し引いても250ドル強のプラスで終了。夕方6時、まだまだ明かるい日差しの中競馬場を後にする。行楽帰りの激しい渋滞もなんのその、帰宅に3時間近く掛かったが、意気揚々と引き上げてきた。
 しかし、この日から独身生活であることをすっかり失念していて、途中で食料を調達せず、家に帰ってからさらに2時間程食べるものを漁る羽目になるとは、まるで思っていないのだった。

次回からは、サラトガ日記の予定。