第14回 

 今回は、現在のサラトガの町の中をご紹介していこう。

 まず、最初に道路のイメージを掴んでいただくことにする。
 縦長のXの字を書き、中心よりやや右側に縦棒を一本引き、Xの中心から右側に縦棒に向かって線を引く。縦の棒が高速87号線で、Xの左上から右下の線が国道の9号線、もう一本が50号線、横棒が9P号線である。右下で9号と87号が交差しているところが13番出口、50号と87号が交差しているのが15番出口、9Pと87号が交差しているところが14番出口で、サラトガの町は大体この範囲である。実際には14番出口と 15 番は2マイル(3.2 km )で、14番と13番とは4マイル(6.4 km )あるのだが、ざっとこんな感じと思って頂ければよい。

 X字の中心のところは交差点ではなくて、しばらくは一緒になって同じ道になる。これがサラトガの中心となるブロードウエイ Broadway である。また、9P号はユニオン通り Union Avenue となり、これは前回ご紹介したように、サラトガ競馬場の前を通る道である。

 それでは、競馬場の前からユニオン通りを町の中心に向かって行くことにする。まず、競馬場の斜向かいにあるのが、競馬の殿堂博物館である。この中は町をぐるりと回ってきてからご紹介することにして、そのまま道を進んでいく。
 この辺りは、古くからの大き目の家が多く、別荘風ではあるが、その内の幾つかは Bed & Breakfast を営んでいる。文字どおりベッドと朝食をサービスするだけの簡易宿泊所、言ってみれば民宿であるが、このあたりは建物の雰囲気といい、競馬場へのアクセスといい、条件が揃っているので、そこに泊まって往年のニューヨークの名士気分を味わうのも、悪くはないかも知れない。

  Bed & Breakfast というのは、特別の観光地でもなければ通常1泊1人30ドルとか、せいぜい50ドル位のものだが、サラトガの場合は、その特別の観光地、日本で言えば旧軽井沢のようなもので、ましてここは、その真ん中なのだから、相当良いお値段のはず。
 ちょいと興味半分、インターネットで検索したら、すごく良さそうなところがあるにはあったが、オフ・シーズンでも90ドル、トップ・シーズンは200ドルから300ドルというから、超一流ホテル並の値札が付いていた。コースまで歩いて行けて、朝食付きだから、それでも泊まりたい人は結構あるのだろう。

 さて、ぶらぶらと1/4マイル位ユニオン通りを歩くと、道が突き当たり、そこに大きな公園がある。公園といっても半分林のようなもので、 コングレス・パーク Congress Park という名前である。かなり古くからあるもので、歴史的 Historic という形容詞が冠せられることもある。
 この公園の中には、鉱泉の湧き出ている場所が何箇所かあり、四阿のような建物(資料にはギリシャ風と説明がある)があって、結構人が来て、ボトルに汲んでいったりしている。
 今資料で調べたら、この公園の鉱泉は1792年に発見されたということなので、サラトガスプリングスのごく初期のころからあるもののようである。

 こうした施設は、この町に何箇所もあり、実は競馬場の中にもある。それも大体名前が付けてあって、競馬場の中は Big Red Spring 、この公園の中は2つあって Columbian Spring と Congress Spring という名前である。

 公園の向こうにメインストリートのブロードウエイがある。この付近が古くからのサラトガの中心地に当るところで、1870年に作られたカジノの建物がこの公園の中ブロードウエイに面して建っている。実際のカジノは1年くらいしか行われなかったらしいが、その後レストラン・博物館として残されて今もある。

 もう一つ、有名なグランドユニオンホテル Grand Union Hotel もこの辺り、あるいは道を挟んで向かい側に建っていたらしい。
 ここ http://www.cortezart.com/saratoga.html の絵と説明を参照して頂くと分かりやすいのだが、1890年代に黄金時代を迎えたサラトガの町の象徴である。当時としては世界最大の規模を誇るホテルだったそうで、夏期だけの営業にもかかわらず、客室とコテージの数は1、000を超えていた。マーク・トゥエインや歴代大統領・外国高官などが避暑としてここで過ごし、まさにニューヨークがそのまま引っ越してきたかのような賑わいであったという。ただし建物は1952−53年頃に倒壊した。

さて、ブロードウエイまでたどり着いた。ここから北に向かって約半マイル位がサラトガの繁華街で、両側にはいろいろな種類の店が並んでいる。カフェ・骨董屋・本屋などなど。次回はその辺の話から。