2001 年 BC at Belmont Park Filly and Mare Turf

<事前予想>
 フィリーメア・ターフは、力に差がありそうで順当か。
 伏兵が来るとすれば展開だけだろう。その大本命は LAILANI で、好位から抜け出すだろう。そうなると逃げている馬は苦しくなり、相手は後続の馬からと見て、BANKS HILL と STARINE 、VOLGA まで。


  1 1/4 MILES INNER TURF THOROUGHBRED FILLIES AND MARES 3 YEAR OLDS
    GRADE 1 STAKE
    PURSE $1,000,000 ( 3:45) (12)


 1 SPOOK EXPRESS (SAF)   L123  SMITH M E      SKIFFINGTON THOM
 2 ENGLAND'S LEGEND (FR)  L123  NAKATANI C S    CLEMENT CHRISTOP
 3 MOT JUSTE (GB)     L119  KINANE M J     DUNLOP EDWARD  
 4 CHASTE         L123  PRADO E S      SCHULHOFER FLINT
 5 BANKS HILL (GB)     119  PESLIER O      FABRE ANDRE

6 VOLGA (IRE) △ L119 SANTOS J A CLEMENT CHRISTOP
7 KALYPSO KATIE (IRE) L123 STEVENS G L DRYSDALE NEIL
8 SOLVIG L123 DAY P NAFZGER CARL A
9 CRYSTAL MUSIC L119 MCCARRON C J GOSDEN JOHN H M
10 STARINE (FR) ▲ L123 VELAZQUEZ J R FRANKEL ROBERT
11 SPRING OAK (GB) 119 DETTORI LANFRAN FABRE ANDRE
12 LAILANI (GB) ◎ L119 BAILEY J D DUNLOP EDWARD

 森本の購入馬券:

    Pick3(12 − 2,5 − 11,12)各 1 ドル・合計 4 ドル
   連 単(12 − 5,6,10)(5 − 10,12)各 2 ドル・合計 10 ドル
   3連単(5,10,12 box)(12 − 5,10 − 6)(5,10 − 12 − 6)
      各 1 ドル・合計 10 ドル

   ◎ Lailani
   ○ Banks Hill
   ▲ Starine
   △ Volga


 常連氏の印
   ◎ England's Legend
   ○ Banks Hill
   ▲ Lailani
   △ Kalypso Katie

 スプリントの当りは転がさず、したがって連勝ファンドは次の段階に進んで 20 ドル単位の 1 回目である。4 連単も狙おうかと思ったが、連単を 2 ドル単位にしたいのでやめ、上位 3 頭堅いとみて 、3 連単を手広くしてヒットを狙う。
 粋な遊び人は薄めから人気馬の連単を狙い、トムは 4 連単の 1 点買いという大胆な攻め方。
 少し風が止んだので寒さが和らぎ、席に早めに戻る。次は内回り芝コースで、スタート地点は我々のすぐ目の前である。

 まず行ったのが、内を利して England's Legend 、続いて Mot Juste など、Banks Hill も比較的前の方にいて、大本命の Lailani は集団の中、後ろから行くのは Volga 、Kalypso Katie や Spook Express といったところ。

 向こう正面に入っても大きく態勢変わらず淡々と進んでいたが、 3 コーナー付近から動き出し、England's Legend に後続が並びかける。
 早めに仕掛けたのは Banks Hill で、後ろの組の Spook Express や Spring Oak 、 Solvig なども前に迫ってくるが、逆に集団の中にいる Lailani は、そこから抜け出せずに、もがいているように見える。
 直線に入って England's Legend 以下、先行組は一杯、 Banks Hill が大きく抜け出すと、後はそのままの勢いで優勝、2着に5馬身以上の差を付けた。2着以下には、いずれも後方からの追い込み組で、2着 Spook Express 、3着 Spring Oak で Solvig 、 Volga がこれに続いた。

  Banks Hill は、牝 3 歳、父 Danehill 、 母 Hasili(父 Kahyasi)で、ここまで欧州マイル路線の王道を歩んできており、6 月コロネーション S に勝ち 8 月ジャックルマロワ賞では躓いて勝ちを逃し(3 位入線繰り上がり 2 着)、前走は 9 月ムーランドロンシャン賞で 2 着になっていた。
 BCのマイルにも登録があったが、力関係でこちらを選択したようだ。マイル以上の距離を走ったのは今回が初めてで、それが人気を少々下げていた理由である。
 馬名の Banks Hill というのは、「バンクが重なったような山」という意味で、つまり切り立った高い山ではなく、比較的低い連なった山のことを指しており、多分これは、イギリス中央部の丘陵地帯の山などをイメージしたものと思われる。
 父親 Danehill は、直訳するとデンマークの山(丘)だが、これはデンマークそのものというよりも、9-11 世紀にイギリスに侵入して中北部地域を占領したデーン人を想定した言葉であろう。彼等が占有した土地をデーンの支配地と言う意味でデーンロー Danelaw と呼ぶが、ここからイギリス中部の丘陵地帯をイメージして danehill と名付けたものと思われる。

  Banks Hill は、私も常連氏も共に対抗印を付けていたが、何しろ大本命が又してもすっ飛んでしまい、人気薄の追い込み勢が入ってしまったので、お手上げである。

常連「ペリエはBC初勝利かな、今年は騎手も欧州勢頑張ってるなあ。」
森本「さっきのスプリントは人気薄で来たけど、ベイリー、今日ちょっと変じゃ
   ありません?乗れていないというか。」
常連「何かアメリカの騎手が以前ほど目立たないなあ。」
トム「ヨーロッパの騎手って、誰と誰?」
常連「このデットーリとか、キネーンとか今勝ったペリエ辺りですね。ベルモン
   では、気候や時差やコースの形態で欧州の馬や騎手が結構来るという記憶
   があるなあ。」
森本「特に今日の最後2つのレースには現在の欧州最強クラスが来ているから要
   注目ですよ。」
粋遊「いや実はさ、俺今日まで騎手が 1 日に何回もレースに乗るって知らなか
   ったんだよな。」
トム「騎手ってレースでどの位影響する?」
森本「それは様々だけど、馬の力が接近していたり、あるいはお互いに力関係が
   分からない時、レースのペース配分が微妙な時というのは、やはり騎手の
   力量が問われるね。」
粋遊「乗れてないとうのは?」
森本「ここにいる馬も騎手も超一流ばかりだから、微妙な差が結局勝負を分ける
   でしょう、だから騎手が少しでもペース判断に狂いがあったり、やること
   が裏目に出たりするということはありますね、人間だから。本当はベイリ
   ー騎手というのはここのトップジョッキーで、 3 割から、下手すると 5
   割近く勝つんですよ。でも今日は、本命に乗っても勝てない。さすがにさ
   っき一つ勝ったけど、あれはどちらかというと人気薄ですからね。人気の
   馬をしっかり勝たせることが本当は一番難しくて、それが上手く行ってい
   ないからこれからもあんまり信用しない方が良いかも。」
粋遊「よし、今度は騎手からも少し狙ってみるかな。」

 またしても大本命が敗れ、次はいよいよ本日の中でも最も堅い本命と言われている Officer が登場する。
 しかし、場内のムードは、こんどこそ本命が勝つだろうという本命支持派と、今日はもうダメだ、堅い本命は皆消し、という流れ重視派に分かれているようだった。